2024年09月30日
- 認知行動療法
うつ病へのカウンセリング(認知行動療法)について
皆さんこんにちは。認知行動療法カウンセリングセンター東京品川店の岡村です。今回は、うつ病に悩んでいる方がカウンセリングを受けた際、どのようにセッションが進むのか、認知行動療法(CBT)の観点からご紹介したいと思います。認知行動療法は、科学的に証明された効果があり、うつ病の改善に非常に有効なアプローチの一つです。
うつ病とは?
うつ病は、気分の落ち込みや興味・喜びの喪失、疲労感、睡眠の問題など、さまざまな症状を伴う精神的な疾患です。多くの場合、日常生活や仕事に支障をきたし、場合によっては長期間にわたって症状が続くこともあります。うつ病の原因は、ストレスや環境的な要因、遺伝的な要因、脳内の化学物質の変化など、さまざまな要素が関与しています。
認知行動療法とは?
認知行動療法(CBT)は、うつ病や不安症に対する効果的なアプローチの一つです。CBTは「思考(認知)」と「行動」の関連性に注目し、ネガティブな思考パターンを修正することを目的としています。うつ病の方は、しばしば「自分は価値がない」「未来には希望がない」といった自己否定的な思考に捉われがちです。これが気分の落ち込みを悪化させ、行動を制限することに繋がります。
CBTでは、まずこのような思考パターンに気づき、それを現実的でバランスの取れたものに変える方法を学びます。これにより、うつ症状の悪循環を断ち切ることが期待されます。
カウンセリングの流れ
1. セッションの初期段階
最初のセッションでは、クライエントの現在の状態や生活にどのような支障が出ているかを確認し、困っていることや目標を整理していきます。例えば、「朝起きるのが辛い」「仕事や家事に手がつかない」「何をしても楽しめない」といった具体的な問題について話し合います。うつ病の症状は個々によって異なるため、その人に合ったアプローチを見つけることが重要です。
2. 認知へのアプローチ
うつ病の大きな特徴の一つは、ネガティブな思考が優勢になることです。例えば、少しの失敗があったときに「自分は全くダメな人間だ」と過度に自分を責めてしまうことがあります。このような思考パターンは、感情や行動にも影響を与え、結果として症状を悪化させることになります。
認知行動療法では、まずこのような思考パターンに気づき、客観的に振り返る練習を行います。セッションの中で、クライエントがどのように状況を解釈しているか、その認知が現実的かどうかを一緒に検討します。さらに、別の視点や可能性について考えることで、バランスの取れた認知を取り戻すことができるようサポートします。
3. 行動へのアプローチ
うつ病の症状が進むと、活動レベルが低下しがちです。「何もする気が起きない」「一日中ベッドにいる」といった行動は、気分をさらに悪化させることが多いです。これを「気分一致行動」と呼びます。認知行動療法では、こうした気分一致行動の代わりに「気分不一致行動」を取り入れることを推奨します。例えば、「だるいけど少し散歩に出てみる」「やる気がなくても簡単な家事をしてみる」といった小さな行動を意識的に取ることで、徐々に気分が改善されることがあります。
4. 行動活性化
行動活性化とは、日常生活でできる小さな行動を少しずつ増やしていくアプローチです。特に、楽しみを感じられる活動や、以前は興味を持っていた活動を再開することを目指します。カウンセラーと共に、クライエントが現実的にできる範囲で行動計画を立て、徐々に活動レベルを回復させていきます。
認知行動療法の効果
認知行動療法の特徴は、クライエントがセッション中に学んだスキルを日常生活でも実践できる点です。これにより、セッション外でも自分で問題解決を図る力がつきます。CBTは、短期間で効果が出ることが多く、実践的なアプローチであるため、忙しい現代人にも適しています。また、薬物療法と併用することで、さらに高い効果を期待できる場合もあります。
セルフケアの重要性
カウンセリングだけでなく、セルフケアも非常に重要です。例えば、規則正しい生活リズムを保つ、バランスの良い食事を心がける、適度な運動を取り入れることが、うつ病の改善に役立ちます。また、趣味やリラクゼーション法を見つけることも、ストレス軽減に効果的です。カウンセリングで学んだことを日常生活に取り入れることで、長期的な改善を目指しましょう。
東京品川店でのサポート
認知行動療法カウンセリングセンター東京品川店では、うつ病に悩む方々に対し、個別に合わせたカウンセリングを提供しています。クライエント一人ひとりの状況に応じたサポートを行い、最適な改善計画を共に立てていきます。もし、うつ症状でお悩みの方、または家族のサポートをお探しの方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度ご相談ください。皆さまの心の健康を取り戻すお手伝いを心を込めて行っております。
認知行動療法カウンセリングセンター東京品川店
https://tokyo.cbt-mental.co.jp/
——筆者情報——
岡村優希
株式会社CBTメンタルサポート 代表取締役
認知行動療法カウンセリングセンター代表
公認心理師、臨床心理士、認定行動療法士
個人事業主として私設カウンセリングルームの運営を経て、株式会社CBTメンタルサポートを創業し、メンタルヘルス支援者向けのサービス事業を展開している。主宰しているオンラインコミュニティ『認知行動療法の学校』の会員数は約400名。
さらに、カウンセリングルームを全国に5店舗運営しており、全国展開を目指している。
◆執筆書籍
「臨床心理学 〈123(第21巻第3号)〉 問いからはじまる面接構造論 「枠」と「設定」へのまなざし」金剛出版
「遠隔心理支援スキルガイド」 誠信書房
◆テレビ出演
読売テレビ「かんさい情報ネットten.」2024年7月4日
「あなたの味方!お役に立ちます」のコーナーに高所恐怖克服のための専門家として出演
◆雑誌掲載
「からだにいいこと」 2022年12月号、2023年2月号
◆近年の講演実績
2024年2月21日
広島大学医学部にて「セルフケアに役立つ認知行動療法入門」についての講師
2023年2月9日
NTT PARAVITA株式会社にて「認知行動療法」をテーマとした社内研修の講師
2022年7月6日
筑波大学医学医療系精神医学の勉強会で「パニック症の認知行動療法」についての講師
その他、学会発表多数
一覧に戻る