2026年01月16日
- 認知行動療法
品川でハラスメントが怖くて意見が言えない/認知行動療法で整理する「伝えられなさ」の正体
こんにちは。認知行動療法カウンセリングセンター東京品川店です。
職場や人間関係の中で、
「これを言ったらハラスメントと思われないだろうか」
「注意したいけど、相手を傷つけてしまうかもしれない」
と考えすぎてしまい、意見を伝えられなくなるご相談は少なくありません。
この状態は、単なる「気にしすぎ」ではなく、ハラスメントへの不安が強まる現代の環境の中で起きやすい心理反応です。
本記事では、認知行動療法(CBT)の視点から、
- なぜ言えなくなるのか
- どんな悪循環が起きているのか
- 今日から試せる整理と練習
を、できるだけ具体的にまとめます。
1. なぜ「ハラスメントが怖くて」言えなくなるのか?
意見が言えなくなる背景には、複数の要素が絡み合います。ここでは「ハラスメントに関連する不安」に焦点を当てて整理します。
1)「言う=危険」という学習が強化されている
近年、ハラスメントの概念が広がり、職場でも注意喚起が増えました。これは大切な流れですが、その一方で、
- 言い方を間違えたら問題になるかもしれない
- 正しい内容でも受け取り方次第でトラブルになるかもしれない
- 注意する側が責められる可能性もある
といった情報が積み重なることで、「意見を言うこと自体が危険」という感覚が強まることがあります。
2)「相手を不快にさせないように」が最優先になる
意見を言えない方は、相手の気持ちを想像できる優しさを持っている方も少なくありません。
しかし、その優しさが強いほど、
「相手が嫌な思いをしたらどうしよう」
「関係が壊れたらどうしよう」
という不安が上がり、結果として言葉が出にくくなります。
3)過去の経験から「言うと損をする」というパターンができている
例えば、過去に
- 意見を言ったら強く否定された
- 注意したら相手が不機嫌になった
- 伝えたつもりが誤解された
などが続くと、「言う=悪い結果につながる」という学習が強化され、反射的に黙る行動が出やすくなります。
2. 認知行動療法で「伝えられなさ」の悪循環を分析する
認知行動療法では、「性格が悪い/弱い」ではなく、
考え・感情・身体・行動のつながり(悪循環)として整理します。
認知行動療法の基本モデル(4つの反応)
意見を言おうとした瞬間、以下が同時に起きやすくなります。
- 認知(考え)
例:「これを言ったらハラスメントと言われるかも」「嫌われるかも」 - 気分・感情
不安、恐怖、緊張、恥ずかしさ - 身体反応
動悸、喉が詰まる、頭が真っ白になる、身体が固まる - 行動
相手に合わせる、話題を変える、その場を避ける
いったんその場を避けると不安は下がるため、脳は「黙る=安全」と学習します。
しかし後から、
「また言えなかった」
「自分ばかり我慢している」
という後悔や自己否定が起こり、次回さらに言いにくくなります。
これが「伝えられなさ」の悪循環の一例です。
3. 不安が強いときに起きやすい考え方の偏り
ハラスメント不安が強いと、思考は安全側に偏りやすくなります。代表例は以下です。
- 結論の飛躍(感情的決めつけ)
根拠が十分でないのに「絶対に問題になる」と決めつける - 自己非難(個人化)
相手の反応をすべて自分の責任だと感じる
(例:相手が不機嫌=自分が悪い) - 0か100か思考
「完璧に言えなければ失敗」「少しでも反対されたら終わり」
ここで大切なのは、これらを“直すべき欠点”として扱わないことです。
不安が強い場面では誰にでも起こりうる反応で、整理の対象です。
4. 具体的なトレーニング:DESC法とコラム法
「言えない」を変えるには、
- 伝え方(スキル)
- 考え方の整理(認知の整理)
の両面が役立ちます。
4-1. 相手を不快にさせにくい「DESC(デスク)法」
DESC法は、攻撃になりにくく、論点を整理して伝える方法です。
Describe(描写):客観的な事実のみ
- 推測や評価を入れず、状況を説明します。
- 例:「今週の締切が過ぎています」
Express(表現):自分の意見・気持ち
- 主語を「私」にして表現します。
- 例:「私は進行が止まることが不安です」
Suggest(提案):具体的な提案
- 命令ではなく、提案の形にします。
- 例:「今日中に一度、進捗を共有してもらえますか」
Choose(選択):反応に応じた選択肢
- 受け入れられた場合/難しい場合の対応を用意します。
- 例:「難しければ、いつなら可能か教えてください」
DESC法のポイントは、
「事実」と「意見」を切り分けて、相手が受け取りやすい形に整えることです。
4-2. 感情を整理する「コラム法(思考記録表)」
ハラスメントが怖いときは、頭の中だけで考えるほど不安が大きくなります。
コラム法では、書き出して整理します。
- 自動思考:例「これを言ったらハラスメントと言われる」
- 根拠:その考えを裏付ける事実は?
- 反証:反対の事実は?(例:以前伝えたが問題にならなかった)
- 適応的思考:より現実的な見方へ
例:「言い方を整理すれば伝えられる可能性はある。意見=攻撃ではない」
不安をゼロにするのではなく、
現実に即したレベルまで下げて行動できる状態に近づけるのが目的です。
5. 今日からできるスモールステップ
コミュニケーションは「センス」ではなく「スキル」です。
小さな練習で上達します。
- 書き出して練習(素振り)
「本当は何を伝えたかったか」をノートに書く
→ DESCの形に整える - 安全な相手で試す
信頼できる友人、利害関係のない店員さんなどで短い意見から試す - ぬいぐるみを活用する
人に向けて言えない言葉を、まず“安全な対象”に話してみる
(自分の意見に気づく練習になります)
よくあるご質問(Q&A:3つ)
Q1. 意見を言うこと自体がハラスメントになるのが怖いです。どうすればいいですか?
意見を言うことそのものが直ちにハラスメントになるわけではありませんが、確かに「伝え方」や「関係性」「状況」によって誤解が生まれることはあります。
そのため、まずは
- 事実と解釈を分ける
- 主語を「私」にする(アイ・メッセージ)
- 提案の形に整える(DESC法)
といった整理が有効です。怖さが強い場合は、コラム法で「最悪の想定」が膨らみすぎていないか確認します。
Q2. 伝えるときに緊張して頭が真っ白になります。これは治りますか?
多くの場合、緊張は「慣れ」と「準備」で下がります。
特に、言葉が出ない方は“本番で考えながら話す”負荷が高くなりやすいので、
- 事前にDESCで文章を作る
- 短い一文だけ先に用意する
など、負担を下げる工夫が効果的です。少しずつ場数を踏むことで改善していくことが多いです。
Q3. 我慢しすぎて、あとで強い怒りや落ち込みが出ます。どう整理すればいいですか?
我慢が続くと、怒り・無力感・自己否定が溜まりやすくなります。
認知行動療法では、「我慢した場面」を振り返り、
- 何を恐れていたのか(ハラスメント不安など)
- どんな考えが浮かんだのか(自動思考)
- どんな行動を選んだのか
を整理します。
その上で「今の自分ができる小さな言い方」を作っていくと、極端な爆発や落ち込みが減っていきます。
まとめ
「ハラスメントになるのが怖くて意見が言えない」という悩みは、
現代の職場環境では起きやすく、決して珍しいものではありません。
認知行動療法では、
- 怖さを責めずに整理し
- 考え方と行動のパターンを見える化し
- 伝え方の練習を積み上げる
ことで、少しずつ「伝えられる状態」を作っていきます。
認知行動療法カウンセリングセンター東京品川店のご案内(店舗紹介)
認知行動療法カウンセリングセンター東京品川店では、
職場や対人関係における
- ハラスメントへの不安で意見が言えない
- 注意・指摘ができず我慢が続く
- 言えないことで自己否定が強くなる
といったお悩みを、認知行動療法の視点から整理し、
具体的な対処や練習を一緒に検討しています。
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