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夫婦関係の悩みの多くは、“大きな事件”ではなく、日常のすれ違いから生まれると言われることがあります。
言葉にしにくい違和感や、伝えたつもりでも伝わらないもどかしさが積み重なると、少しずつ距離が生まれてしまうことがあります。
そんな時には「何が正しいか」よりも、「どこですれ違っているのか」を丁寧に見つめることが役に立つことがあります。

こんにちは。認知行動療法カウンセリングセンター東京品川店です。
私たちは、夫婦に関する対話のサポートも行っています。「どこから話せばいいのか分からない」「こんな内容でも相談して良いのか」と不安を抱える方も少なくありませんが、ご夫婦に関するお悩みはとても身近なものであり、特別なものではありません。
私たちが大切にしているのは、相手を変えようとするのではなく、お互いの間に“どのようなやり取りの土台”ができているのかを一緒に見つめ直すことです。


日常のすれ違いは「やり取りの前提」から生まれることがある

夫婦のすれ違いというと、性格の相性や努力不足のように感じてしまうことがあります。
しかし実際には、多くの場合 “物事をどう受け取り・どう意味づけているか” という「前提の違い」から生じています。

例えば、

この2つが同じ場面で交差すると、
そこには“無言のままズレていく関係”ができます。

ここで起きているのは
「どちらの性格が悪いか」ではなく、
「前提が交差していない」という状態です。


伝わらない背景には「パターン化されたやり取り」が存在する

夫婦関係を難しく感じるタイミングは、「話ができていない時」ではなく、むしろ“話しているのに伝わらない時”が多いと言われることもあります。

たとえば、次のような流れです。

起点こころ表の行動
本当は助けが欲しい負担をかけたくない黙って抱え込む
黙って抱えた分、期待が膨らむ気づいてほしい伝わらず落胆
落胆が積もる無力感から怒りへ強い口調で出てしまう

相手側ではこう映ります。

相手からの見え方受け止め
急に怒られたように感じる「何を求められているのか分からない」

この時、「気持ちのズレ」を生んでいるのは性格ではなく、
“気づかないうちに繰り返されてきたパターン”です。

認知行動療法では、この「パターン化した流れ」を丁寧にほどき、
背景にある前提を見える化していきます。


「正しさ」より前に、「今なにが起きているか」を知ること

夫婦関係では、話し合いを始める前にすでに「負け試合」になってしまうことがあります。

この状態だと、どれだけ言葉を工夫しても届きにくくなります。

ですから、カウンセリングでは最初から解決策を探すのではなく

“いま、どのような土台でコミュニケーションしているのか”

そこをゆっくり可視化していくことから始めます。


日常のすれ違いは「小さな場面」に積み重なる

夫婦関係の行き違いは、特別な出来事よりも“生活の端っこ”で起きやすいものです。

こうした場面には、“どちらが正しいか”よりも、
「なぜその行動を選んだのか」の前提が違う、という構造があります。


すれ違いが起こる瞬間(会話例)

例えば、こんなやり取りは珍しくありません。

(夕方)

「今日は早めに帰れる?」

「うーん…たぶん無理かな」

(本人の気持ち:家事を分担したいから確認)

(相手の受け取り:急かされた)

「言ってくれたらやったのに」

「いや、言ったよね?」

ここで起きているのは
「伝えた/伝えていない」ではなく、

伝えた内容と、受け取った意味が違ったというずれです。


同じ構造は家事でも起きます。

「食器、洗っておいてくれると助かる」

 →(本人の意図:お願い)

 →(相手の受け取り:“やってない”ことへの指摘)

「わかった」と返事

 → なぜか手つかず

この時、相手は
「あとでやろうと思っていた」
つまり“先延ばし”であって“不満”ではない。

しかし依頼した側では、
「返事=すぐにやるという合図」に変換されていることがあります。


それぞれの頭の中で、こう整理されている

本人相手
手伝ってくれると思って安心まだ自分のペースで動くつもり
進んでいないのを見て不安「責められる前に終わらせたい」と焦る
モヤモヤを抱えていく言われそうで落ち着かない

どちらも「相手を困らせたい」わけではありません。
すれ違いが起きる時、それは多くの場合

“気持ちが届かなかった”のではなく、
“前提が合っていなかった”

という構造で説明できます。


「我慢すれば丸く収まる」ではなく、「どこでずれたか」を静かに整える

日常のすれ違いが続くと、

というルートが固定化します。

やがて「ありがとう」と言う場面すら、
どちらが“主導”かを測る材料になってしまうことがあります。

たとえば、

ここでも問題は性格ではなく、“土台となるやり取りの枠”です。


カウンセリングで行うのは「正解探し」ではなく“見える化”

カウンセリングでは最初から話し合いをうながすのではなく、

これらを安全な場所でゆっくり可視化していきます。

すると、

「どちらが悪いか」ではなく
「どんな流れになっているのか」が見えてきます。

この “流れ” が見えると、関係の温度が静かに落ち着き、
“直す”より“整える”という感覚に変わっていきます。

一人から始められる理由

夫婦関係というと「二人で来ないといけない」と感じてしまう方もおられますが、実際には お一人でのご相談から始まるケースも少なくありません
これは、「片方だけでも“土台となる前提”を少し整えると、関係全体の温度が変わること」があるためです。

相手を説得することも、急な変化を目指すことでもなく、
まずは「自分が安心して考えられる場所を持つ」ということ自体に意味があります。


Q&A

Q. 夫婦で考え方が合わず、話し合いになると平行線になります。相談してもよいのでしょうか?
A. はい。違いがあること自体が問題なのではなく、「どう扱うか」の部分に支えがあると進め方が変わることがあります。

Q. 相手を連れてこられない場合でも意味はありますか?
A. あります。会話の土台が整理されることで、ご自身の伝え方や受け止め方の幅が広がり、結果的に日常の雰囲気が落ち着いていくことがあります。

Q. どれくらい通えばよいか決まっていますか?
A. 回数に決まりはありません。状況が整理できるまでの短期の場合もあれば、丁寧な見直しを続ける場合もあります。


最後に ― 静かに整えていくという選択

夫婦関係は「大きな決断」だけが支えになるわけではありません。
その手前に、「立ち止まり方」や「考え直す余白」があることで、関係は少しずつ整っていくことがあります。

無理に頑張り続けるのでもなく、結論を急ぐのでもなく、
まずは “気持ちを下ろしてよい場所” を持つこと。

そこから見えてくることが、たしかにあります。

焦らなくて大丈夫です。
もし今、言葉にならない思いを抱えているなら、いつでもご相談いただけます。


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