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こんにちは。認知行動療法カウンセリングセンター東京品川店の岡村です。本日は、「自己臭恐怖」に対する認知行動療法(CBT)のアプローチについて詳しくご紹介いたします。自己臭恐怖は、日常生活や社会生活に多大な影響を及ぼし、他人の目や反応が気になりすぎてしまうことから、生活の質に重大な支障をきたすことが多い症状です。当センターでは、自己臭恐怖にお悩みの方が安心して過ごせる日々を取り戻せるよう、丁寧で効果的なサポートを提供しております。

自己臭恐怖とは?

自己臭恐怖(じこしゅうきょうふ)は、自分の体から嫌な臭いがしているのではないかという過度な不安や恐怖に悩まされる状態です。例えば、他人が鼻をすする仕草や顔をしかめるのを見ると、「自分が悪臭を放っているからだ」と感じてしまい、ますます不安を募らせる傾向があります。この恐怖に囚われすぎると、人前に出ることを避け、対人関係が難しくなり、最終的には社会的な孤立や引きこもりにつながることもあります。

自己臭恐怖の症状には以下のような特徴が見られます。

また、自己臭恐怖の背景には、過去のトラウマや敏感な性格が影響していることが多く、周囲の人が自分をどう見ているかを過度に気にする傾向が関わっていることもあります。

認知行動療法(CBT)とは? 自己臭恐怖へのアプローチ

認知行動療法(CBT)は、考え方や行動パターンを見直し、少しずつ新しい生活様式に適応するアプローチです。自己臭恐怖に対するCBTの目的は、強い不安や恐怖に対し新たな視点を持ち、自己肯定感や社会生活への自信を取り戻すことです。自己臭恐怖が日常生活に及ぼす負担を軽減し、自分自身を受け入れるサポートを行います。以下のようなステップでCBTを進めます。

1. 現状の把握と認識

まず、自己臭恐怖が日常生活にどのような影響を与えているのかを明確に整理します。「どのような臭いがしていると感じるか」や「そのためにどんな行動をしてしまうのか」を詳細に分析し、思い込みが生活に及ぼす影響を理解していきます。この段階では、実際の臭いの有無を追及するのではなく、自己臭恐怖が生活に与える影響に焦点を当てることが目的です。

2. 認知のパターンを見直す

自己臭恐怖において、他人の仕草や反応をすぐに「自分の臭いが原因だ」と結びつける認知の癖が存在します。例えば、隣の人が鼻をすすると、無意識に「自分が悪臭を放っている」と捉えてしまう場合です。カウンセリングでは、こうした考え方の癖に焦点を当て、新しい視点を養う練習を行います。具体的には、「他人の仕草や反応が自分に向けられたものではないかもしれない」と気づき、自分に対する不安感を少しずつ和らげることが目標です。

3. 不安や恐怖に対する曝露療法(エクスポージャー)

CBTで用いる技法の一つに「曝露療法(エクスポージャー)」があります。これは、不安や恐怖を引き起こす状況に段階的に慣れていくトレーニングです。自己臭恐怖の場合、まずは他人と接する機会を少しずつ増やし、その際に感じる不安に対処する方法を学びます。最初は軽い曝露から始め、不安が徐々に減少していくのを感じられるようにサポートし、自己臭恐怖の緩和を目指します。

4. 対処行動の抑制と自己受容

自己臭恐怖を持つ方は、過度な歯磨きや入浴といった行動に頼って不安を抑えがちですが、これらの行動は短期的な安心感を得る一方で、長期的には自己臭恐怖を強めてしまうリスクがあります。CBTでは、こうした対処行動を少しずつ減らし、例えば「深呼吸をする」「他の考えに意識を向ける」といった代替行動を身につけることで、自分自身の不安感をコントロールする方法を学びます。

認知行動療法の効果と重要なポイント

CBTは、自己臭恐怖に悩む方が「悪臭への恐怖」を和らげ、日常生活への適応力を高めるのに効果的です。日々の生活で少しずつ成功体験を積むことで、他人の反応に左右されることなく自信を取り戻していくことが期待できます。CBTの進行には個人差があり、短期間での劇的な変化は難しいことが多いものの、少しずつでもポジティブな変化が見えてくると継続のモチベーションにもつながります。

また、CBTの実施において無理に対処を強いることはせず、クライエントが安心して自分のペースで取り組めるように配慮しています。特に自己臭恐怖のケースでは、不安が強いため少しずつ焦らず取り組むことが重要です。

最後に

認知行動療法カウンセリングセンター東京品川店では、自己臭恐怖にお悩みの方を対象に、個別カウンセリングを行っています。対面による丁寧なサポートだけでなく、オンラインカウンセリングにも対応しており、遠方の方や品川店に直接お越しいただくのが難しい方でもご利用いただけます。自己臭恐怖は一人で悩むには辛い症状です。もしもこの悩みが生活の中で大きな障害となっていると感じられる場合は、ぜひお気軽に当センターまでご相談ください。私たち専門のカウンセラーが、あなたが安心して生活を送れるようお手伝いします。

——筆者情報——

岡村優希

株式会社CBTメンタルサポート 代表取締役

認知行動療法カウンセリングセンター代表

公認心理師、臨床心理士、認定行動療法士

個人事業主として私設カウンセリングルームの運営を経て、株式会社CBTメンタルサポートを創業し、メンタルヘルス支援者向けのサービス事業を展開している。主宰しているオンラインコミュニティ『認知行動療法の学校』の会員数は約400名。

さらに、カウンセリングルームを全国に5店舗運営しており、全国展開を目指している。

◆執筆書籍

「臨床心理学 〈123(第21巻第3号)〉 問いからはじまる面接構造論 「枠」と「設定」へのまなざし」金剛出版

「遠隔心理支援スキルガイド」 誠信書房

◆テレビ出演

読売テレビ「かんさい情報ネットten.」2024年7月4日

「あなたの味方!お役に立ちます」のコーナーに高所恐怖克服のための専門家として出演

◆雑誌掲載

「からだにいいこと」 2022年12月号、2023年2月号

◆近年の講演実績

2024年2月21日

広島大学医学部にて「セルフケアに役立つ認知行動療法入門」についての講師

2023年2月9日

NTT PARAVITA株式会社にて「認知行動療法」をテーマとした社内研修の講師

2022年7月6日

筑波大学医学医療系精神医学の勉強会で「パニック症の認知行動療法」についての講師

その他、学会発表多数

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