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認知行動療法カウンセリングセンター東京品川店の奥本と申します。今回は健康経営の歴史を海外のサイトから調べました。そこから分かった健康経営の変遷や現在での必要性についてお伝えします。

健康経営のルーツ

健康経営の起源は第一次世界大戦以前にさかのぼります。フォードなどの製造業者は、健康な従業員が生産性を高めると考え、ウェルネスプログラムに投資しました。

当時としては、例外的な取り組みでしたが、これが現在までの健康経営の始まりとなりました。企業は健康な労働力が生み出す利益を見て、健康保険が確立する前からこういった活動を徐々に導入し始めました。例えば当時の取り組みとしては、ナショナル・キャッシュ・レジスター社において、1日に2回の運動休憩の導入と従業員用のジムを建設したり、フォードの週40時間労働制の導入などがあります。

第二次世界大戦までには、大企業は健康とウェルネスに関する福利厚生を導入していました。

戦後の健康経営

第二次世界大戦後、企業は従業員の医療保険を負担し、従業員支援プログラムやその他の福利厚生を提供し始めました。例えばテキサス・インスツルメンツ、ロックウェル、ゼロックスなどの企業が従業員向けのフィットネスセンターを開設しています。

また、1970年代には外科医監修のタバコの危険性に関する報告に伴い、経営者は従業員の行動習慣が健康状態に影響を与えることを理解し始めました。それでも、経営者たちは主に病気予防に焦点を当てており、従業員の健康行動の促進よりも職場での病気による欠勤や怪我を防ぐことが主な目的となっていました。

健康経営の概念誕生

20世紀末には、禁煙プログラムやストレス管理、栄養指導などが一般的になりました。また、同時期に企業は、医療費が高額な従業員に焦点を当て、健康促進プログラムを作りましたが、最も健康リスクが高い人々にしか対象が限定されていませんでした。

特に90年代には、こういった健康リスクの高い従業員に対して保険料が多くかかってくるため、この費用を抑えることが最も効率的な資源利用であると考えていました。

しかし、従業員のプログラム参加率が低く、失敗率が高いため、医療費は急上昇し続けていました。

このように、保険料が最も高額な従業員に多くの時間を費やした企業は、本質を見失っていました。彼らは、奨励が必要な他の従業員や、従業員の健康に影響を与えるストレスレベル、仕事の満足度、運動、栄養、睡眠などの要因を無視していたため、元々問題の無かった従業員の健康レベルも悪化し、保険料負担が増える一方となっていたのです。

そんな中、1992年に心理学者であるロバート・H・ローゼン(Robert H. Rosen)は自身の著書「The Healthy Company」で健康経営の概念を提唱しました。

これは、従業員の健康と企業の成功が密接に関連しているという考え方です。これにより企業が従業員の全体的なウェルビーイングを重視し始める転換点となりました。

そして、これ以降、従業員の保険料に関わらず、従業員全体の健康に影響を与えるストレスレベル、仕事の満足度、運動、栄養、睡眠状況などの促進を進めていった企業は、結果として保険料も大幅に削減でき、経営状態も改善、株価も上昇したという事がCorporate Health Achievement Award Winners,S & P500との比較研究によって実証されている。

健康経営の現在

現在、健康経営は単なる医療費削減の手段ではなく、従業員の全体的な幸福と企業の成功を結びつける重要な戦略として認識されています。ストレス管理、仕事の満足度向上、フィットネス、栄養、睡眠の質改善など、包括的なアプローチが求められています。

健康経営を成功させるためには、企業は従業員一人ひとりのウェルビーイングに焦点を当てる必要があります。

その為には、身体面の健康は勿論、職場でのコミュニケーションやストレス対処等のメンタルヘルス面における環境調整も大切な要素となっております。

認知行動療法カウンセリングセンター東京品川店では、企業向けの健康経営研修の他、職場内でのメンタルヘルスに関するお悩みのサポートも行っております。是非ご覧ください。

認知行動療法カウンセリングセンター東京品川店

https://tokyo.cbt-mental.co.jp

参考文献・引用サイト

Rosen, Robert H. The Healthy Company. TarcherPerigee, 1992.

Daniel Pink. Drive: The Surprising Truth About What Motivates Us. Riverhead Books, 2009.

BJ Fogg. Tiny Habits: The Small Changes That Change Everything. Houghton Mifflin Harcourt, 2019.

Peterson, Christopher, and Martin Seligman. Character Strengths and Virtues: A Handbook and Classification. Oxford University Press, 2004.

Limeade. “What is Limeade?” Limeade.com. https://www.limeade.com

青山学院大学:https://www.cc.aoyama.ac.jp/~well-being/helthy-company/index.html

ーー著者プロフィールーー

奥本浩司

株式会社CBTメンタルサポート 取締役

心理カウンセリングオフィスFLIFE 代表

広島出身。広島国際大学臨床心理学科を卒業後、ALSOKで営業職を担当。その後、カナダのトロントにワーキングホリデーに行き。帰国後は大手建設企業の環境調整担当として従事。

2022年より、心理カウンセリングオフィスFLIFEの代表として個人事業主となる。京都と広島でのカウンセリングや、オンラインセミナーを提供。

また、その間に株式会社CBTメンタルサポートが運営しているオンラインコミュニティ「認知行動療法の学校」の運営スタッフとして協力。

2024年5月より株式会社CBTメンタルサポートの取締役に就任。

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