2024年09月01日
- 認知行動療法
強迫症改善に役立つ米粒の活用法
こんにちは、認知行動療法監視センター代表の岡村と申します。本日は、強迫症状の改善方法についてお話しします。特に、認知行動療法の一環であるエクスポージャーという方法に焦点を当て、実際にどのようにして不快な感覚に対処できるのかを具体的に解説します。
なお、本内容はYoutube動画でもご紹介していますのでお時間ある方はぜひご覧ください。
強迫症状とは?
強迫症状は、特定の物事に対する過剰な不安や恐怖が引き起こす精神的な困りごとです。例えば、手洗いを繰り返す人がその一例です。手が汚れると感じることで、何度も手を洗いたくなるという強迫的な行動が出てしまうのです。この行動は、実際には病気にならないとわかっていても、脳や体が「危険だ」と信じ込んでしまうために起こります。
こういった強迫症状に対して、認知行動療法のエクスポージャーという手法が有効とされています。
エクスポージャーとは?
エクスポージャーは、あえて不快な状況や物事に触れることで、その恐怖や不安に対する耐性をつける方法です。例えば、汚れが気になる人には、あえて汚れた物に触れてもらい、その後すぐに手を洗うことを避けて、一定時間その状態を維持するという方法を取ります。
このプロセスを繰り返すことで、脳や体が「これは危険ではない」と学習し、次第に過剰な不安反応が和らいでいくとされています。
米粒を用いたエクスポージャー
ここで一つ、少しユニークなエクスポージャーの例を紹介します。それは「米粒を残す」という練習方法です。これを行うことで、強迫症状の改善に役立つことがあります。
例えば、食べ物を残すことに対して強い罪悪感を感じる人がいる場合、その人には少量の米粒をあえて残してみるという練習を提案します。これは一見、些細なことのように思えるかもしれませんが、食べ物を残すことに対する強い抵抗感や罪悪感がある人にとっては、非常に効果的なエクスポージャーとなります。
この方法のポイントは、繰り返し行うことで、次第に「米粒を残すことは実はそれほど重大なことではない」と体が理解するようになる点です。最初は強い罪悪感を感じるかもしれませんが、回数を重ねるごとにその感覚が薄れていくことが期待されます。
他のエクスポージャーの方法
もちろん、米粒を残すことがすべての人に効果的とは限りません。エクスポージャーの方法は、人それぞれの苦手な感覚や状況に応じてカスタマイズすることができます。
例えば、高所恐怖症の人には、少し高い場所に立ってみることや、ジェットコースターの近くでその音を聞いてみることなどが効果的です。また、集合体恐怖症の人には、集合体の画像を見ることも一つの方法です。
エクスポージャーの効果とリスク
エクスポージャーは、恐怖や不安に対して非常に効果的な方法ですが、注意が必要です。特に、無理をして中途半端なところでやめてしまうと、逆に症状が悪化するリスクもあります。そのため、エクスポージャーを行う際には、専門家のサポートを受けることが推奨されます。
専門家のサポートを受ける
我々のカウンセリングルームでは、オンラインまたは対面でのカウンセリングを通じて、強迫症状の改善をサポートしています。強迫症状にお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。
認知行動療法カウンセリングセンター東京店
https://tokyo.cbt-mental.co.jp/
——筆者情報——
岡村優希
株式会社CBTメンタルサポート 代表取締役
認知行動療法カウンセリングセンター代表
公認心理師、臨床心理士、認定行動療法士
個人事業主として私設カウンセリングルームの運営を経て、株式会社CBTメンタルサポートを創業し、メンタルヘルス支援者向けのサービス事業を展開している。主宰しているオンラインコミュニティ『認知行動療法の学校』の会員数は約400名。
さらに、カウンセリングルームを全国に5店舗運営しており、全国展開を目指している。
◆執筆書籍
「臨床心理学 〈123(第21巻第3号)〉 問いからはじまる面接構造論 「枠」と「設定」へのまなざし」金剛出版
「遠隔心理支援スキルガイド」 誠信書房
◆テレビ出演
読売テレビ「かんさい情報ネットten.」2024年7月4日
「あなたの味方!お役に立ちます」のコーナーに高所恐怖克服のための専門家として出演
◆雑誌掲載
「からだにいいこと」 2022年12月号、2023年2月号
◆近年の講演実績
2024年2月21日
広島大学医学部にて「セルフケアに役立つ認知行動療法入門」についての講師
2023年2月9日
NTT PARAVITA株式会社にて「認知行動療法」をテーマとした社内研修の講師
2022年7月6日
筑波大学医学医療系精神医学の勉強会で「パニック症の認知行動療法」についての講師
その他、学会発表多数
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