2024年08月08日
- 認知行動療法
アスリートのメンタルケアとしての認知行動療法
プロスポーツ、Eスポーツ、部活などスポーツに取り組む子どもや大人はさまざまな葛藤を抱きながら日々を過ごしています。それと同様に親や部活の顧問、コーチも生徒やアスリートにどのように接し指導や応援をすれば良いか判断を迷うことは多々あります。今回はメンタルヘルスケアの視点から生徒やアスリートとのかかわり方についてお話していきたいと思います。メンタルヘルスケアはアスリートのパフォーマンス向上にも影響があると考えられ世界中で研究がなされています。
多くの人がスポーツをする中でメンタルヘルス不調を抱えます。一見すると順調でありメンタルヘルスに問題がないと思われる人でも不調をきたすことはあります。スポーツ業界は競争社会であり「勝つ」「強い」「上手い」ことに価値が置かれやすくそれがかなりのプレッシャーになります。人によってこれらプレッシャーがパフォーマンスを下げてしまうこともあれば、プレッシャーに対応しパフォーマンスを発揮する人もいます。これらの違いにメンタルヘルスケアが関連してきます。メンタルヘルスについての知識を身につけることは育成やアスリート自身にも役立ちます。
1.心地よい環境づくり
メンタルヘルスは環境と個人の相互作用が影響します。そのため個人だけでなく環境づくりも大切になってきます。ではどのような環境づくりを目指していけば良いのでしょうか。書籍「10代を支えるスポーツメンタルケアのはじめ方」によると以下3つのポイントが重要と言われています。
①心理的安全性が整った環境:自分の意見を安心して話せる環境
②メンタルヘルスリテラシー:メンタルヘルスについての知識、理解がある
③偏見の小さい社会 :精神疾患などへの偏見が少ないこと
この3つのポイントが揃うとメンタルヘルスの予防やサポートの土台が整います。
厳しいルール、厳しい上下関係、指導者が権威的であるなど「厳しい環境」だとストレス発散が難しくなるでしょう。古くからの伝統や暗黙のルールなど、明確ではないルールの存在は特に新人の精神的負担となります。ですので、そのあたりのルールを明確にするだけでも負担は軽減することでしょう。また、互いに認め合える信頼関係が築けていることも大切となります。
2.メンタルを労わることの大切さ
アスリートはパフォーマンス向上のためにメンタルトレーニングを受けることがありますが、それだけではなく自分を労わるメンタルヘルスケアも大切になります。大切なのは「強さ」ではなく「レジリエンス」になります。その中でも、困難状況に陥ったり失敗をしたとしてもその経験を糧に新しく活かす姿勢が大切になります。メンタルヘルスケアは個人だけの責任ではなく、組織や団体全体で考えることが大切になります。その上で、メンタルヘルス不調の早期発見と対応をしていくことが重要になります。
3.聴くこと自体がサポートになる
環境づくりの際にも記載したように安心して話せる環境であることがメンタルヘルスケアにおいて重要になります。自身のメンタルヘルス不調に気づき、安心してそのことを話すことができ、その話を聴くことができるようになることこそがメンタルヘルス不調の早期発見と対応に繋がるのです。
4.認知行動療法カウンセリングセンター
認知行動療法カウンセリングカウンセリングセンターでは組織におけるメンタルヘルスケアサポートも行っています。まずは事前無料相談をご活用ください。
引用・参考文献
小塩靖崇(2024)10代を支えるスポーツメンタルケアのはじめ方
大和書房
認知行動療法カウンセリングセンター東京店
https://tokyo.cbt-mental.co.jp/
——筆者情報——
岡村優希
株式会社CBTメンタルサポート 代表取締役
認知行動療法カウンセリングセンター代表
公認心理師、臨床心理士、認定行動療法士
個人事業主として私設カウンセリングルームの運営を経て、株式会社CBTメンタルサポートを創業し、メンタルヘルス支援者向けのサービス事業を展開している。主宰しているオンラインコミュニティ『認知行動療法の学校』の会員数は約400名。
さらに、カウンセリングルームを全国に5店舗運営しており、全国展開を目指している。
◆執筆書籍
「臨床心理学 〈123(第21巻第3号)〉 問いからはじまる面接構造論 「枠」と「設定」へのまなざし」金剛出版
「遠隔心理支援スキルガイド」 誠信書房
◆テレビ出演
読売テレビ「かんさい情報ネットten.」2024年7月4日
「あなたの味方!お役に立ちます」のコーナーに高所恐怖克服のための専門家として出演
◆雑誌掲載
「からだにいいこと」 2022年12月号、2023年2月号
◆近年の講演実績
2024年2月21日
広島大学医学部にて「セルフケアに役立つ認知行動療法入門」についての講師
2023年2月9日
NTT PARAVITA株式会社にて「認知行動療法」をテーマとした社内研修の講師
2022年7月6日
筑波大学医学医療系精神医学の勉強会で「パニック症の認知行動療法」についての講師
その他、学会発表多数
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